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森ミキエ詩集『P』(七月堂) 2000.7.20発行 おしゃれな詩を書くひとだと思う。この『P』はそういう詩集だ。表題作の「P」というのはパーキングの頭文字だと当人が言っていた、とわたしは記憶している。不思議な音感のタイトルだ。 私たち これから じっくり話をしましょう 乗り捨てられた車の下で くっついて (「P」部分) 変わっている。車の下にわざわざ潜り込み話をするなんて、聞いたことがない。 わたしが好きな詩は「窓辺」だ。ロマンチックなところがよい。 そっとカーテンをあけると 硝子の曇りの隙間に広がる いちめんの雪原 急な斜面の真ん中に ただ一本の樅の木が 白く閉ざされて立ちつくす (「窓辺」部分) 夜、眠っている「あなた」のそばで「わたし」は窓から外を眺める。雪原に樅の木が一本立っている。そして、 わたしはあなたの中で まっすぐに立つ木になれるだろうか (「窓辺」部分) 不安感すら覚える幸せな時間を感じた。 素敵な詩がいくつか見受けられ、どれを紹介したらよいのか迷うところだが、あと一つだけ好きな詩について感想を書こうと思う。「ソファ」。 シンメトリーに坐る ワンルームの壁際にあるソファ 私は左脚を上に組んで恋愛小説を読み 男は右脚を上に組んで語学雑誌を読む (「ソファ」冒頭部分) 恋愛小説の中は雨。やがて語学雑誌のアルファベットが部屋の中(?)にも、雨のように降り出してくる。「水面に揺れる 無数の文字 無数の言葉」、そして「男は沼になっていた」。幻想というより現実を超えていく何かがあるような気すらする。 「月を飼う」「ガーゼの翼」などもキレイなイメージで読後の感じがよい。この本は手にとりやすいソフトカバーで、ホソヤツトムの廃墟のような写真が表紙になっている。 美しい本だと思う。 P―森ミキエ詩集
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