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help リーダーに追加 RSS 森ミキエ詩集『P』を手にしてみる

<<   作成日時 : 2007/06/24 17:47   >>

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森ミキエ詩集『P』(七月堂)
2000.7.20発行
 
おしゃれな詩を書くひとだと思う。この『P』はそういう詩集だ。表題作の「P」というのはパーキングの頭文字だと当人が言っていた、とわたしは記憶している。不思議な音感のタイトルだ。 
 
私たち これから
じっくり話をしましょう
乗り捨てられた車の下で
くっついて

(「P」部分)
 
変わっている。車の下にわざわざ潜り込み話をするなんて、聞いたことがない。
わたしが好きな詩は「窓辺」だ。ロマンチックなところがよい。
 
そっとカーテンをあけると
硝子の曇りの隙間に広がる
いちめんの雪原
急な斜面の真ん中に
ただ一本の樅の木が
白く閉ざされて立ちつくす

(「窓辺」部分)
 
夜、眠っている「あなた」のそばで「わたし」は窓から外を眺める。雪原に樅の木が一本立っている。そして、
 
わたしはあなたの中で
まっすぐに立つ木になれるだろうか

(「窓辺」部分)
 
不安感すら覚える幸せな時間を感じた。 
 
素敵な詩がいくつか見受けられ、どれを紹介したらよいのか迷うところだが、あと一つだけ好きな詩について感想を書こうと思う。「ソファ」。
 
シンメトリーに坐る
ワンルームの壁際にあるソファ
私は左脚を上に組んで恋愛小説を読み
男は右脚を上に組んで語学雑誌を読む

(「ソファ」冒頭部分)
 
恋愛小説の中は雨。やがて語学雑誌のアルファベットが部屋の中(?)にも、雨のように降り出してくる。「水面に揺れる 無数の文字 無数の言葉」、そして「男は沼になっていた」。幻想というより現実を超えていく何かがあるような気すらする。
 
「月を飼う」「ガーゼの翼」などもキレイなイメージで読後の感じがよい。この本は手にとりやすいソフトカバーで、ホソヤツトムの廃墟のような写真が表紙になっている。

美しい本だと思う。

P―森ミキエ詩集
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