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川口晴美詩集『EXIT.』 2001.7.15発行 この本、表紙が銀色で、銀色の帯びに小泉今日子の文が書かれている。小泉今日子は「なんだかワクワクしちゃった。」らしい。 形式は行分け詩と散文詩。おしゃれな短編小説のよう。基本的には縦書きだが、横書きの文章もある。 鳥になった夢をみた。きょう、バードパークへ行ったせいだ。 (「バードパーク」部分) わたしも空を飛ぶ夢は何度も見たことがある。それはそれは気持ちのよい夢で、風を切る感覚や浮遊感が楽しめる。しかし意外に鳥になった夢は見たことがない。 この詩の主人公は「バードパークの中にいるのではないことに気付く。」「あの網目の外側にわたしはいる。」のであり、それは「飛び散った血しぶき」という詩句が二度繰り返されるように、けっして楽しいとは言えない。 目覚めたら、バードパークで見失ったわたしを捜すために、彼女は鳥の目を開ける。 (「バードパーク」部分) ラストのこの展開には意表をつかれる。 また「甘い香りに似た匂い」は「わたしの羽毛の内にこもっているのだ。」とあるように、皮膚感覚が抜群によい。 この「バードパーク」もよいが、「Over The Coca Cola」は不思議な話で興味をひかれる。 枯れ果てた草もまばらな平原をわたしたちは渡ってゆく。わたしたち、三人の姉とわたしは、一人がひとりずつ家具を担って歩いている。 (「Over The Coca Cola」部分) なぜ平原を三人姉妹(たぶん主人公・話者は女性だろう)は歩いているのか、何が目的なのかはよくわからない。寝台と長椅子とテーブルとテレビをそれぞれが運んでいる。そんな大きな家具を、一人ずつ担えて歩けるわけはないが。何かシュール(超現実主義的)な感じもする。また「犬」と呼ばれる「所有」されている男が登場する。その男に「わたし」は足を舐められるのだが、その様子がリアルに描写されている。けっして淫ではないが、濡れた舌や足の感じが書かれている。地平線に電信柱、そしてCoca Colaの看板が現れる。終わり近くに次のような一文がある。 わたしたちと妹は犬を共有し、電信柱の列に沿ってどこまでも平原を渡ってゆくだろう。 (「Over The Coca Cola」部分) 平原を歩いていく感じが果てしなくてよい。この詩の最後の詩句もリアルだ。 ほかにも「わたしは死んでしまった。」から始まる「ダブル/ダブル」など印象に残る作品もある。 質感のある不思議な魅力にあふれた詩集だと思う。 (2002.12記) EXIT.
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