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副題に−百年の恋、五〇人の詩−とある。詩人の正津氏の、恋や愛の詩と鑑賞や各作者・詩人の愛をめぐる人生についてのエッセイというところだろうか。 藤村や与謝野晶子、啄木、光太郎、賢治、中也、みすずから、現代詩人の黒田三郎、鮎川信夫、辻征夫など50人の作品が紹介されている。 わたしの好きな詩を一部引用したい。 こひびとよ、 おまへの 夜のくちびるを化粧しないでください、 その やはわかいぬれたくちびるに なんにもつけないでください、 その あまいくちびるで なんにも言はないでください、 ものしづかに とぢてゐてください。 (大手拓次「夜の脣」より) 拓次は朔太郎、犀星とともに「白秋門下の三羽烏」といわれながらも、ひとりだけ孤独のまま作品を書き続け、そして知られないまま亡くなっていった詩人。 ボードレールなどフランス象徴主義に傾倒、耽美、幻想、怪異な詩の世界を描く。拓次のこの詩のこひびととは誰だろう。正津氏は想像する。長く無職であった拓次が29歳で入社した会社の女子社員ではないかと。おそらくはのちに女優となったある女性ではないかと。そしてこれは片思いではないかと。 極端な人見知りの拓次はただ詩を書き続けた。生前に1冊の詩集もなく、詩壇からも遠く、交友も限り、独身でもあった、拓次は、ひとり47歳で看取られずに亡くなった。 最後に、「詩人の愛」に収録されている賢治の「無声慟哭」のラストだけ引用して記事終わりたい。 わたくしのかなしさうな眼をしてゐるのは わたくしのふたつのこころをみつめてゐるためだ ああそんなに かなしく眼をそらしてはいけない 詩人の愛―百年の恋、五〇人の詩
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