|
佐々宝砂詩集『仮想地下海の物語』 (発行ミッドナイトプレス/発売星雲社) 2002.5.25発行 佐々氏はネットのライター兼詩人である。自称「三流怪奇詩人」だという。ペンネームは何か方言のもじりだったと思う。ちなみに、女性。 この詩集はおもしろい。平凡な内容の現代詩よりは数段に違う。優れた内容の現代詩とも競えるのではないかとも思う。もっとも詩は競争するものではない。また現代詩とネット詩を区分けすることに、現在意味はないようにも思える。それでもネット詩人とあえて呼びたくなる存在ではある。 わたしが好きなのは「仮想地下海の物語」の「序章 アノマロカリス」。 仮想地下海で私はアノマロカリスに出逢う。/傷だらけでくたびれてでもいまだ攻撃的なアノマロカリス。/私は嬉しくて哀しくて悲鳴をあげながら這いまわり/エビの尻尾みたいなアノマロカリスの摂食器官を撫でる。/私の脚が一本ひきちぎられ血が滴る。 仮想地下海は今夜もにぎやかに荒れているね。/私もあなたも凪いだ海などきらいだ。/そうだろう?/愛しい、愛しい、アノマロカリスよ。/もっともっと私の肉を食べておくれ。/そして声低く私に語っておくれ。 仮想地下海の物語を。(「仮想地下海の物語」の「序章 アノマロカリス」終連) 長く引用したが、理科系の詩のよう。あるいはSFを思わせる世界。愛の痛みすら感じると言えば、笑われるだろうか。解説や帯文は赤木虫太。よく佐々氏の詩の世界を表現している。ちなみに「現代詩手帖」の書評にもあがった。現代詩に飽きたとき、この詩群をネットで読むと、詩もおもしろいものだと再認識できる。どこがおもしろいかという説明は必要だろうか? 藍する藻の煮ついて片ってはいけないか/ではなかった/愛するものについて語ってはいけないか/ときには愛について騙ってみたっていいじゃないかよクソ(「A Japanese Player」冒頭部) 傑作だ。 2003.1記 |
| << 前記事(2007/06/24) | トップへ | 後記事(2007/08/11)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/06/24) | トップへ | 後記事(2007/08/11)>> |