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help リーダーに追加 RSS 佐々宝砂詩集『仮想地下海の物語』をご紹介

<<   作成日時 : 2007/08/11 08:54   >>

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佐々宝砂詩集『仮想地下海の物語』
(発行ミッドナイトプレス/発売星雲社)
2002.5.25発行
 
 佐々氏はネットのライター兼詩人である。自称「三流怪奇詩人」だという。ペンネームは何か方言のもじりだったと思う。ちなみに、女性。
 この詩集はおもしろい。平凡な内容の現代詩よりは数段に違う。優れた内容の現代詩とも競えるのではないかとも思う。もっとも詩は競争するものではない。また現代詩とネット詩を区分けすることに、現在意味はないようにも思える。それでもネット詩人とあえて呼びたくなる存在ではある。

わたしが好きなのは「仮想地下海の物語」の「序章 アノマロカリス」。

 仮想地下海で私はアノマロカリスに出逢う。/傷だらけでくたびれてでもいまだ攻撃的なアノマロカリス。/私は嬉しくて哀しくて悲鳴をあげながら這いまわり/エビの尻尾みたいなアノマロカリスの摂食器官を撫でる。/私の脚が一本ひきちぎられ血が滴る。
 
 仮想地下海は今夜もにぎやかに荒れているね。/私もあなたも凪いだ海などきらいだ。/そうだろう?/愛しい、愛しい、アノマロカリスよ。/もっともっと私の肉を食べておくれ。/そして声低く私に語っておくれ。
 
仮想地下海の物語を。(「仮想地下海の物語」の「序章 アノマロカリス」終連)
 
 長く引用したが、理科系の詩のよう。あるいはSFを思わせる世界。愛の痛みすら感じると言えば、笑われるだろうか。解説や帯文は赤木虫太。よく佐々氏の詩の世界を表現している。ちなみに「現代詩手帖」の書評にもあがった。現代詩に飽きたとき、この詩群をネットで読むと、詩もおもしろいものだと再認識できる。どこがおもしろいかという説明は必要だろうか?
 
 藍する藻の煮ついて片ってはいけないか/ではなかった/愛するものについて語ってはいけないか/ときには愛について騙ってみたっていいじゃないかよクソ(「A Japanese Player」冒頭部)
 
 傑作だ。
 
2003.1記


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